Archive for 2010年4月

漢方を用いたダイエット

4月 22nd, 2010

体に良く(副作用が少ない、効き目が穏やかなど)、美容にも効果があるという点でダイエットをしたい方に漢方を使う事が増えています。

ダイエットに取り組む人の多くは、きつい運動(有酸素運動やウエイトトレーニングの取り組みなど)や著しく食事量を減らすなどの方法で脂肪燃焼の促進やカロリーの制限という目的を達成したい傾向にあります。いくらダイエットのためとはいえ、このような方法では健康を損なってしまいます。健康な体作りを主眼に置いたダイエットが、漢方を用いる時のポイントです。体に負担をかけて行うダイエットではなく、健康も増進され望ましい体を作ることで自然とスリムになることが漢方での理想です。

漢方では肥満の原因は食べ過ぎや運動不足のほかに、新陳代謝をコントロールする脾(西洋医学でいう脾臓=spleenではありません。)の働きも大切と考えています。脾の働きを調整し、代謝を促進することによってダイエット効果を得ることが漢方のポイントです。漢方を用いたダイエットは、健康上の問題からダイエットの必要性に迫られているという、生活習慣病予防やメタボ対策をしたい方に適しています。

漢方を用いたダイエットの注意点は、漢方の中には即効性を示すものもあるが、一般的には効果が出るには多少の時間がかかる傾向があります。気長に取り組むことが肝要です。(1日、2日で効果が出るようなものではないことを注意する必要があります。)体重を落とすことが最終目的ではなく、漢方を用いたダイエットの本質は体質改善にあります。体質改善とは、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。短期間で効果が出てしまうと身体への負担は大きくなってしまいますので、体調不良やリバウンドの元となります。

漢方を用いたダイエットには、少なくとも半年は服用し続けるつもりでじっくりと気長に取り組んでいきましょう。服用時に体調の不良を認めた場合は医師に相談すべきです。(漢方による副作用などを確認するために、定期的に血液やその他の検査を行い、内臓機能をチェックする必要があります。)

当院は漢方の他に耳ツボ療法や針治療に用いたダイエットもございます。ご興味のある方は一度ご相談下さい。

紫外線ケア

4月 21st, 2010

    紫外線ケアは、紫外線の強い季節だけでなく年間を通して行う必要があります。紫外線の影響を受けた肌のケアをするとしないとでは大違いです。

  少し前まで、夏は適度に肌を日に焼いて小麦色になった方が見た目の印象としては健康的になるだけでなく、体にもいい影響があると考えられていたようです。

  しかし、紫外線が肌に良くない作用があることが明確になってきたことで、紫外線を遮断するためや紫外線予防のスキンケアのために熱心になる人が増えました。

  なぜ紫外線に対するケアが必要なのでしょうか? 皮膚ガンや紫外線アレルギー、白内障などは紫外線を浴び続けると発症するリスクが高くなりますし、皮膚のしみ(色素沈着)やシワ(皮膚のたるみなど)が増えることもあります。

  皮膚の免疫力を低下させ、感染症に罹り易くさせてしまう紫外線は恐ろしいものです。日本では、しみ・しわと言うと、美容面だけでとらえて健康上では軽視されがちです。

  紫外線ケアは大人になってから始めるものだと認識されている方が多いようですが、オーストラリアやアメリカは、紫外線は早いうちからケアをしなければならないものだという認識が育っています。(これは白色人種が紫外線の障害に曝され易いことにも関係します。)子供が小さい頃から紫外線ケアに気を配ることが一般的なようです。日本は未だそこまでは至っておらず、紫外線への警戒は甘いようです。実際はどれだけ若い時から紫外線ケアを行うかが、大人になってからの美容や健康に大きく関わっているようです。

「病は気から?」

4月 17th, 2010

患者さんがかかりつけの医院を選ぶときの基準は何でしょうか。

もちろん、医療技術や設備は当たり前です。

しかし、それ以上に求められているのは「親身な説明」です。つまり患者さんの立場に立って説明し、患者さんと共に病気を治す最善の治療法を見つけ出すことです。

「親身な説明」に欠かせないものは何でしょうか?

それは、具体的かつ詳細な説明と丁寧な話し方です。患者さんは、自分の体がどうなっているのかを詳しく知りたがっています。そして、それを分かり易い言葉で丁寧に説明されることを望んでいます。そのためには安心感を与える言葉が必要なのです。

患者さんは医師の言う言葉には非常に敏感になっています。「心配ないですよ」「たいしたことないですよ」「大丈夫ですよ」「今日は調子がよさそうですね」といった前向きで明るい言葉をかけられると安心します。「病は気から」とはよく言いますが、病状の改善に大きく影響しているのは間違いありません。

しかし、病気によっては、どうしても厳しいことを言わなければならない場合があります。例えば糖尿病の患者さんで食事療法や運動療法を守れないばかりに他病を併発しそうな場合(合併症)は、厳しく現状(場合によっては誇張的に)を説明しなければなりません。その場合でも「こうしないと駄目」ではなく「こうすれば大丈夫」とプラスの言葉に変換し、安心感を与えるようにします。このように、患者さんの病気に対する意識や闘病意欲を刺激するように話しを運ぶことが大事なのです。

言葉の力は想像以上に大きいです。人は些細な一言で生きる希望が沸いて来たり、絶望したりすることがあります。ましてや、人命を預かる医師の一言は重要です。言葉を選び、患者さんに安心感を与えることを、いま一度心掛けたいものです。

経験上、同じ病気の人なのに、回復の早い患者さんと、どうも治療が思わしくない患者さんに分かれます。分析してみると、回復が順調な患者さんは、私達医師の前向きな言葉を素直に受け止めて実行している方です。逆に、思った程、なかなか良くならない患者さんというのは、朝から晩まで病気のことばかりを考えているようです。これでは自分で病気を治りたくないと言っているようなものです。治し得る病気でも患者さんが “もうあかん! 治らない! ”と決め込んだら、まず治りません。

当院ではいろいろな性格の方に合った説明や治療法をもっと考えた医療を実施したいと日々考えています。

「クスリとサプリメント」

4月 15th, 2010

      最近はサプリメントブームで、サプリメントを使う人が増えています。

   薬とサプリメントを一緒に取り入れる場合、留意すべきことは何でしょうか?

   サプリメントと一緒に摂取したために薬の効果が過度になり過ぎたり、思ったほど効き目が出なかったりします。

  疲労回復効果や便秘に効果のあるグレープフルーツは、薬を分解してしまう酵素の働きを抑制してしまいます。それが原因で、薬の効果が出過ぎてしまう場合があります。グレープフルーツの特性は、生だけでなくサプリメントやジュースにした状態であっても効果が出る可能性があります。

  ビタミンKがたくさん含まれている野菜には、主としてブロッコリーやほうれん草などが挙げられます。ビタミンKは血液凝固を阻害する作用があります。特に抗血液凝固薬ワルファリンなどを使用している方は特に注意が必要です。ビタミンK が大量に含まれるケールやクロレラが入った青汁や、納豆などに気をつけなければなりません。

  病気になり医療機関で薬を処方された時は、自分がいつも飲んでいるサプリメントの種類や名前などを申告して、医師の指示を受けて下さい。もし聞くのを忘れてしまった場合は、薬を飲んでいる間はサプリメントを摂るのを中止した方が良いでしょう。

  飲み合わせはそれぞれ個別に発生するものであり、サプリメントは食品なので基本的には飲み合わせはありませんが、全くないものではありません。飲み合わせや副作用のトラブルが起きないように、薬とサプリメントの扱いはくれぐれも慎重にして下さい。

子宮頸がん

4月 14th, 2010

   子宮にできるがんは子宮の体部にできるものと子宮の頸部(子宮の入り口)にできるものがあります。

   疫学調査では子宮頸がんは20~30代で急増しています。全世代では乳がんの次に多いがんですが、20~30代のがんの中では最も多く、日本では年間約15000人の発症が報告されています。

    発症原因は発がん性HPV(ヒトパピローウイルス)による感染です。発がん性HPVは性交渉により感染されますが、極限られた特別な人だけが感染するのではなく、多くの女性は生涯で一度は感染するありふれたウイルスです。

    発がん性HPVはいくつかのタイプがあり、その中でもHPV16型、18型は多く(約60%)の子宮頸がんで発見されています。この発がん性HPVに感染しても多くの場合は一過性(一時的に)でウイルスは自然に排除されますが、ウイルスが排除されずに長い間感染が続くと、一部は前がん病変(がんになる前の異常な細胞)となり、数年から十数年かけて子宮頸がんを発症する場合があります。尚、発がん性HPVは感染の機会があれば繰り返し何度でも感染します。HPV感染が子宮頸癌発生の必要条件です。

    子宮頸がんワクチンの一つであるサーバリックスは発がん性HPV16型と18型の感染をほぼ100%防ぐことができます。サーバリックスの予防効果はメーカーのデーターによると6.4年間と報告されていますが、経過観察を続けることにより、更なる延長効果も期待されています。

 サーバリックスは初回接種、初回接種から一ヶ月後、初回接種から六ヶ月後の合計3回、腕の筋肉内注射することによって十分な予防効果が得られます。きちんと最後まで接種することが大切です。尚、サーバリックス接種後も定期的に子宮頸がん検診を受ける必要があります。(主なワクチン接種対象者は11から12歳の少女達で、当分の間は癌検診対象者にならないこと、HPV16、HPV18以外のHPV型による子宮頸癌の早期発見が必要ということで)

 サーバリックスの接種に関してのご質問などは気軽に当院まで御願いします。

東洋医学と西洋医学

4月 12th, 2010

東洋医学と西洋医学はどう違うのでしょうか。

西洋医学は機器による画像診断(CTスキャン、レントゲン、超音波画像など)や検査(血液、尿など)によりすばやく、病巣を発見することができます。

感染症や外傷などでは最も恩恵を受けています。しかし、西洋医学にも苦手なものがあります。

検査で異常がないが、患者さんの訴えがある場合には西洋医学は苦手なのです。

一方、東洋医学は、問診(患者さんの話を聞く)、切診(脈を診たり、お腹を触る)、望診(患者さんの外観や舌を診る)、聞診(口臭、体臭などを嗅ぐ)という診察方法から、病巣がどこにあるかということより、患者さんの身体のバランスの歪みを見きわめます。

診断に関しては、画像診断や検査値のように、客観的なデータは存在しません。しかし、患者さんの話に耳を傾け、一部分の病気の個所だけに注目するのではなく、身体全体からの病態の把握、五感からの観察・情報の収集など東洋医学的な専門知識を身に付けていることが要求されます。

たとえば、脈を診る事ひとつをとっても、指先から20種類以上の脈を感じ取れるように東洋医学の医師は感覚を研ぎ澄ましています。

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 以上は医薬品流通業界人M氏のご投稿でした。 ご投稿有難うございました。

 

 当医院では、西洋医学と東洋医学の両方を用いて診療することで理想的な医療を追求しています。西洋医学と東洋医学の相互補完による全体医療は今後ますます重要になってくると思います。   曽野