梅雨が明け、暑い日が続いています。昨年の酷暑に続き、この夏も日本列島は暑い。それに伴って熱中症も起こり易くなっています。この度、産業医の研修会で熱中症について勉強する機会がありましたので、皆様と情報を分ち合いたいと思います。
平成22年度の熱中症の発生は17750名でそのうちの1718名の方々が亡くなられました。これは例年の1.5倍の発生です。
熱中症は①高温②多湿③無風などの環境下で、体内の温度調整機能が破綻し、体内の水分や塩分のバランスが崩れた健康障害の総称です。それらによって、めまい・けいれん・吐き気・意識障害・頭痛など、さまざまな「熱中症」の症状が引き起こされることになります。
どのような方が熱中症になり易いのでしょうか?
・ 子供や高齢者など脱水症になり易い人
・ 暑さに慣れていない方
・ 日頃運動をしていない方
・ 過度の衣服を着ている方
・ 肥満の方
・ 病気の方(糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患など)
・ 我慢強い方?(節電熱中症など)
以上の方々です。
熱中症による死亡災害被災状況の実態
・ 季節 梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多い。
気温25~30℃でも湿度が高いと発生し得ます。
・ 時間 昼の休憩後1時間頃、疲れが出始めた時に多い。
但し、朝や夕にも発生します。
・ 年齢 全年齢で起こり得ます。
熱中症の主な防止策
・ 無理をしない。(適切に休憩を取る)
炎天下での激しい労働・運動を控える。 30分~60分毎に休憩を!
・ 時々水分・塩分補給を行う。
塩分・少量の糖を含む経口補水液を補給
(活動2時間前に250~500mlの摂取)
経口補水液とは脱水症の時、注射(点滴)ではなく、塩分等の電解質と糖がバランスよく配合された経口的に摂取する液のことです。
*持病のある方は主治医にご相談下さい。
・涼しい服装
汗の吸収や通気性の良い衣服を着用し、休憩時は衣服を脱ぐなど熱を外に逃がす。
・ 体調管理
睡眠不足、下痢、風邪気味などの時に発生し易い。
・ 暑さを避ける
屋内でも蒸し暑い場所の運動を控える。
初夏のうちに外出や運動で暑さに慣れておく。
熱中症の処置
熱中症になってしまった場合、すでに体内の温度調整機能が破綻し、「人命にかかわる緊急事態」という認識を持ってほしいです。応急措置としては、「いかに早く体温を下げるか」ということが重要です。暑い戸外からクーラーの効いた室内や涼しい木陰に移し、衣服を緩め、風通しを良くして下さい。次に、冷たいタオルなどを使って、体を拭いたり首周りや脇の下を冷やしたり、うちわなどであおぎながら、体を冷やすようにし下さい。
水分や塩分の補給も行うべきですが、意識障害がある場合は、無理して水を飲ませては気道に流れ込んでしまう(誤嚥)ため、かえって危険です。吐いたりした場合は、気道をつまらせないよう、横向きに静かに寝かせるようにして下さい。意識障害で水が飲めない場合は、救急車が到着するまでは体を冷やす応急措置を続けながら、一刻も早く病院・医療機関に運ぶことが大切です。
熱中症の症状から回復しても、体力が弱った状態で動き回ったり、再び無理をしたりすると、再発の恐れがありますので、油断しないで下さい。
持病のある方の対応は上記で述べましたことと若干異なることがありますので、それぞれのかかり付けの医師にご相談下さい。
曽野医院
以下のアドレスは環境省熱中症予防情報サイトです。
ご参考にして頂ければ幸いです。