ノロウイルス流行の兆し 昨年の2倍超、手洗い重要
2010年11月22日 提供:共同通信
嘔吐(おうと)や下痢を繰り返す感染性胃腸炎の患者が急増していることが、国立感染症研究所の集計で20日、分かった。ほとんどはノロウイルスが原因とみられる。この時期としては過去10年で2番目に多く、昨年の2倍以上に上る。
同研究所感染症情報センターの安井良則(やすい・よしのり)主任研究官は「予防には、せっけんを使って手洗いをしっかりすることが大事だ。子どもを中心に感染が広がるため、嘔吐や下痢の症状がある場合は保育園や幼稚園、学校に行くのを控えてほしい」と話している。
全国約3千の小児科から報告された感染性胃腸炎の患者数は3週連続で増加。7歳以下が70%以上を占める。今月1~7日の1週間は、1カ所当たり5・3人。過去10年で最多は2006年の7・1人で、昨年は2・4人だった。
都道府県別では、山形が19・8人で最も多く、次いで大分19・1人、新潟11・5人、山口11・4人、長崎10・7人と続く。新潟、山口、福岡、長崎、大分の増加が目立っている。8日以降さらに増えている地域もあり、全国集計は今後も増加しそうだ。
流行は12月にピークを迎えることが多い。
ノロウイルスは、主に患者の嘔吐物や便を介して感染し、感染力は非常に強い。症状が続くのは数時間から数日と比較的短いが、特効薬はなく、水分補給が欠かせない。嘔吐物や便などを処理する際は周囲に広がらないように注意し、塩素系消毒剤による消毒が効果的だ。
曽野医院からのお知らせです。
ノロウイルス感染症は予防が大切です。
予防方法
- 日頃からの予防方法としては、食事前やトイレの後などにおいて、せっけんを使ってしっかりと手を洗うことが大切です。
- 食品中のウイルスは加熱により感染性をなくすことができます。食品の中心温度が 85℃ 1分以上になるようにしっかり熱を通して食べましょう。
下痢や嘔吐などの症状がある人は、食品を取り扱う作業を控えましょう。
二次感染を防ぐために
- 患者の下痢便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれていますので、その処理には十分注意する必要があります。 乾燥した嘔吐物や下痢便のかけらが風に乗って舞い上がり、そばを通ったヒトが吸い込んだり、その人の体に付着し最終的に飲み込むことによって感染する場合があります。
- 下痢の症状がなくなった後も、患者の便にはしばらくウイルスの排出が続くと考えられますので、症状が治まっても安心はできません。汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。
- 殺菌には熱湯あるいは0.05から0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。アルコールや逆性石鹸にはあまり殺菌効果はありません。
- 調理器具、衣類、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
- 市販の塩素系漂白剤(通常は5から10%次亜塩素酸ナトリウム)なら50倍から100倍に薄めて使用します(例えば、原液10ミリリットルを1リットルの水で薄める)。
- 汚物の処理方法
- 患者の便や嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋とマスクを着用して下さい。
- 便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れて下さい。
- 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍から100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭いて下さい。
ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要です。
ノロウイルス感染症の診断は糞便中のウイルス粒子を直接(増やさずに)検査する必要がありますが、残念ながらこの検査は医療保険ではできなく、全額患者自費で行わなければなりません。