台湾の声
中国広東省の広州で開かれているアジア競技大会の女子テコンドー49キロ以下級
に出場した台湾の楊淑君選手が、11月17日にベトナムのヴー・ティーハウ選手と
対戦した際、9対0でリードして残り12秒となったところ、突然韓国系フィリピン人の
審判が楊選手の足の電子防具が大会規格に合致していないとして失格を言い渡した。
台湾サイドが直ちに抗議したものの認められず、楊選手は泣きながら座り込んで
不当な判定に抗議、抵抗したが、判定はくつがえらなかった。楊選手の足の防具
は試合前の検査に合格しており、試合中に突然失格となるのはいかにも不可解で
あった。
17日午後、世界テコンドー連盟の梁振錫・秘書長(韓国)と中国テコンドー管理
センター副主任の趙磊(楊選手のライバルの中国選手のコーチ兼任)が緊急記者会見し、
梁振錫が「楊淑君の悪意ある行為は規定に違反し、相手の競技利益に関係するので失格処分とした」
と説明したが、どのように検査し、なぜ失格と判定されたのかという台湾記者の質問に対して
「これはプライベートにかかわるので、原因は説明できない」などと説明を拒んだ。
さらに台湾の中央通信社の報道によると、台湾の記者の質問を中国側の趙磊
の指示により通訳が拒否されたことから口論となり、台湾の報道陣が抗議のため退席
した。
楊選手は金メダル候補と期待されていたことから、台湾では怒りの声が上がり、
結局同種目は中国の呉静[金玉]選手が金メダルを獲得したことから、韓国と中国
が連携した台湾つぶしだという陰謀論もささやかれている。一方、女子テコンド
ー46キロ以下級では、楊淑君の仇をとるように黄顕詠選手が優勝し、金メダルを
獲得した。
試合後、台湾の行政院体育委員会の陳顕宗・副主任委員が、国際試合だから
我慢してぐっと呑み込むしかないという旨のコメントをしたところ、台湾の与野党か
ら反発の声が上がり、体育委員会は18日に抗議声明を発し、アジアテコンドー協会
に再調査を要求し、楊選手の正当性を訴えた。アジアテコンドー協会は18日に
チャイニーズ・タイペイに不正があったとのプレスリリースを発表し、楊淑君選手
とコーチ2名の大会出場禁止処分を発表した。
理不尽にも、その後の中国のマスメディアも一斉に楊選手を一方的に断罪した。